農の先輩に聞く~私たちの就農ストーリー~
「新規就農に興味はあるけれど、何から始めたらいいか分からない」「本当に自分にできるのか不安」…そんな思いを抱えているあなたへ。ここでは、実際に土と向き合い、汗を流しながら夢を叶えている先輩農家さんたちのリアルな声をお届けします。彼らの経験談が、あなたの就農への道しるべとなることを願っています。」
就農開始ー令和元年
向高 亮次(むこたかりょうじ)さん
佳美(よしみ) さん
夢は幅広い雇用と子ども達への食育
東郷・益安のハウス6棟で、促成ピーマンやオクラを栽培している亮次さん。妻・佳美さんと、ハウス周りの草を食べてくれる頼りになる従業員、ヤギのサニーちゃんが一緒に迎えてくれた。
亮次さんの両親は酒谷で農業を営んでいるが、平成31年3月から新規就農として別の農地を借りて農業を始めた。
農業を始めようと思ったのは、大学で専門分野を学び、オランダのパプリカ農家に農業留学をしたことが大きく関わっている。この経験で農業に対する考え方が変わり、グローバルな視点で農業を考えたりと視野が広がった。
「自分の作った野菜を食べてもらった消費者の方に「おいしいね」と言われたりするのは励みになるし、自分で考えて栽培管理をしていく上で、野菜が順調に育ってくれたり、収量が上がったりすると嬉しくなります。」とやりがいを語ってくれた。
佳美さんは、「これまで農業の知識はあまり無かったですが、今回初めてオクラの種まきから収穫までを経験し、野菜を育てる事の大変さが分かりました。子ども達にも体験してもらって、食べ物の大切さを伝えていけたらいいなと思っています」と笑顔で話してくれた。
亮次さんの今後の夢は、「海外で研修をした経験を活かして外国の方達を従業員として雇用したり、障害のある方達も従業員にと考えています。色んな方達が働ける環境を農業で作りたい。また、子ども達に農業体験をしてもらい、農業の楽しさと一緒に食べ物のありがたさを教えていきたいと思っています。それと、大きな夢ですが・・自分のブランドを作って海外にも輸出していきたい。そのために今はまだ、親から独立したばかりで基盤ができていない状態なので、まずはピーマンの技術を身に付けて実績を積んで土台をしっかりと築いていきたい」と語ってくれた。
夢がしっかりと決まっていて、これからがとても楽しみなお二人だった。
令和元年の農業委員会だよりより引用
就農開始-令和2年
佐藤知哉(さとうともや)さん
美佳(みか)さん
Iターンで日南で農業を
「家族で幸せになるために日南に来ました」 日南海岸の海の様にさわやかな笑顔で話すのは、今年から宮浦地区でピーマンの栽培を始める佐藤知哉さん。2年前に神奈川県・厚木市から、妻の美佳さん、息子の梛玉(なた)くんと家族3人で宮崎に移住し、1年間高鍋の県立農業大学校の実践塾で農業について学んだ。
元々野菜を栽培することに興味があり、神奈川県に住んでいた頃、美佳さんも一緒に家庭菜園程度の農業を始めた。当時は会社員で、梛玉くんが産まれた後も寝顔を見るだけの忙しい日々が続き、もっと家族と一緒に過ごしたい、そのために本格的に農業を学んで就農しようと考えるようになった。
「さぁどこで農業をしていこう」そう考え、色々な土地を探しているうちに、移住説明会で宮崎と出会った。気候も暖かく、海もきれいな日南市に惹かれ、宮崎に決めた。現在は、とても頼りにしている地元の先輩農業者にアドバイスをもらいながら、ピーマン栽培のビニールハウスを設置中。まだ日の昇らない早朝から農地に出向き、作業する。「ハウスを組み立てたりビニールを張ったり、まだ初めての事ばかりで分からない事も多く体力的にはきつい事もありますが、今は何をしていても楽しいです」と笑顔。梛玉くんも、日南に来てからお父さんと過ごせる時間が増えて嬉しそうにお手伝いをしてくれるそう。インタビュー中も元気に走り回っていた。
今後の目標は、「ピーマンの収量を上げるのはもちろんですが、家族3人で幸せになるために日南に来たので、農業を頑張りながら家族との時間も大切にしていきたいです」と知哉さん。美佳さんは、「まずは色々な経験をして、主人に教わりながら農業について覚えていきたいと思います。毎日勉強して、一緒に頑張っていきたいです」と話してくれた。
これから家族3人、笑顔で日南での農業生活を応援していきたい。
令和2年の農業委員会だよりより引用
就農開始-令和4年
穐田幸治(あきたこうじ)さん
農業が教えてくれた新しい自分の生き方
北郷温泉の近くに広がるハウス団地に入って行くと穐田農園の看板が見えてくる。ここで農業を営んでいる穐田幸治さんは、なんと元高校教師。学校内外で活躍する中堅のリーダー的な存在であったが、心身のバランスを崩し令和元年11月に休職。
その後、半年の休暇を経て教職を退いた。45歳にして自分の人生を改めて考えることになった穐田さん、はじめは途方に暮れていたというが、たまたま知ったスイカの立体栽培に興味を持った。令和2年7月、運が良いことに東郷にある横田農園のハウス(8アール)を貸してもらえることになり、穐田さんの挑戦がスタートした。
教職時代は鉢植え栽培すらしたことの無かった穐田さんだったが、8月に初めて種をまき、11月に美味しい真冬のスイカが実った。「ビギナーズラックでした。」そう話す穐田さんのほころぶ笑顔からは農業に携わる喜びが伝わってくる。県立高校の採用試験にも合格し前職に戻ることも選択肢の中にあった。経済的な見通しが立つのは教職であることはわかっていたが、農業の可能性に掛けてみたかった。チャイムに追われる生活ではなく、土や作物とふれあいを通し心にゆとりがもてる農業の魅力に惹かれていた。大いに悩んだが、まだ可能性の小さかった農業に掛けることを決意し、令和3年には、約30アールの農地(うちハウスが20アール)を購入し、独立して就農。令和3年9月から本格的にスイカの立体栽培にとりかかった。
実際、農業は大変なことばかり。むしろ大変なことしかない。作物は言葉を話さないので、病害虫の発生、施肥や潅水の多い少ないなどは、自分がしっかりと観察しておかないといけない。経験が少ないからまださじ加減もわからない。以前は色んな事に完璧を求めていく自分がいたが、今では思い通りにならない事も自然に受け止められるようになった。
子供たちも、「お父さん、農業をするようになってすごく生き生きしてるよ」と言ってくれる。農業を通して病気を克服できたのだろう。現在は妻の麻美さんと2人で冬から春にスイカを、夏から秋にかけてナスを栽培している。
今は、いろんな人にアドバイスをもらいながらだが、「早く一人前になりたい。」と大きな目を少年のように輝かし、今日も農業と向き合う。
令和4年の農業委員会だよりより引用
就農開始-令和5年
蕨野祐樹(わらびのゆうき)さん
美幸(みゆき)さん
思いを継なぐ・次世代へ継なぐ
太平洋を望む海岸線、温暖な気候、ここでみかん作りをしたい。そんな思いから、日南海岸を見下ろす串間市市木のみかん山で、極早生みかん、日向夏、ポンカンなど3.5ヘクタールを営む蕨野さんご夫婦。
「自然と共に生きたい」、そんなお互いの人生観が共鳴しあい、三重県からの移住先に選んだのは日南市。南郷町津屋野の農家さんのもとで、2年間の研修を積み、事業継承を受け、今年から営農を開始した。
すべてを2人で話し合い、地域の農業者の助言や協力を得ながら、一歩を踏み出した。「地域の先輩方が教えてくださるので、とても助かっています。今はまだ作業の段取り等も完全ではなく、日々の業務に追われ、一つ一つの作業の意味や、効率化までなかなか考えるゆとりがありません。更に今年は気候が厳しく、思うほど収穫できませんでした。」そう1年を振り返る2人は、もう、立派な農業者の目をしていた。温暖な気候と地域の方々の温かさに「自分たちは、とても環境に恵まれている」と夫婦で見つめ合う姿が微笑ましい。
2人の人柄が、地域にも受け入れられ、「継なぐ」を成し遂げていったのであろう。
「ここに移住して良かった。夫婦で協力し美味しいみかんを作り、一人前の農家になりたい。」と2人の笑顔は弾けっぱなしだ。
令和6年の農業委員会だよりより引用
就農開始-令和6年
根井智行(ねいともゆき)さん
人に喜んでもらえる花づくり
「花で人を笑顔にしたい」―日南市北郷町大藤地区で、ほおずきやデルフィニウム、ひまわりを育てる根井智行さん。以前は保育士として日南市内の保育園で13年間勤めていた。当時、園の花壇に花を植えて園児や地域の方々に喜ばれた経験が、農業への道を開くきっかけとなった。
さらに実家が花農家であったこともあり、花に一心に向き合う両親の背中を見て育ち、自然と花の栽培に親しんでいた。
本格的に就農したのは令和5年4月。現在2年目を迎え、畑には季節ごとに色鮮やかな花々が咲き誇る。根井さんは一つひとつの花を丁寧に育て、「人に喜んでもらえる花」を届けることを何よりのやりがいにしている。農業の魅力は、自分のペースで仕事ができること、頑張った分だけ成果が形となり、それを地域の方やお客様に認めてもらえることだと話す。その一方で、天候や病害虫など自然相手の仕事ゆえの難しさも痛感していると語った。
それでも「花がきれいに咲き、お客様の手に渡ったとき、自分の努力が報われる」と笑顔を見せる。就農当初は、栽培管理や出荷調整に戸惑うことも多かったが、地域の先輩農家に支えられ、試行錯誤を重ねながら一歩ずつ成長してきた。保育士時代に感じた“人を喜ばせる喜び”と両親から受け継いだ農業への姿勢を胸に、今日も花づくりに情熱を注いでいる。
令和7年の農業委員会だよりより引用
就農開始-令和7年
坂元優汰(さかもとゆうた)さん
めぐみさん
家族の絆で結ぶ日南の果樹
日南市大窪地区で果樹農業の道を歩み始めた坂元優汰さん(36歳)は、親の農業経営を引き継ぎ、妻のめぐみさん(39歳)とともに今年で3年目になる新規就農者。約2㏊のほ場で日南地域を代表するみかんである「日南1号」をはじめ、「津(つ)之(の)望(のぞみ)」、「ゆら早生」や「レモン」を栽培している。
坂元さんは幼少期から親の背中をみて育ち、農業の技術や知見を身につけてきた。地域とのつながりも深く、小学校からの先輩に同じ果樹農家がおり、情報交換を行うことで互いに支え合うことができている。
苦労している点は、自然が相手なので、気候に大きく左右されることや近年の夏場の異常とも言える暑さで、安定した生産の難しさを日々痛感している。逆にやりがいや嬉しさを感じるのは、自分の作った果実がスーパーなどに並んでいるのを見かけた時で、消費者の手に渡る瞬間に喜びを感じると語った。
今後の課題は、「気候とどう戦っていくか」であり、安定生産に向けた対策を進めている。また、家族間で役割分担や労働時間を明文化した家族経営協定を結んでおり、めぐみさんとともに家族一丸となって日南の特産品である果樹生産地を守りながら、地域に貢献する坂元さんの活躍に期待が寄せられている。
令和8年の農業委員会だよりより引用
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更新日:2026年10月16日